最終更新日:2004/1/12

映画タイトル この曲が聞きたくなる
北京ヴァイオリン ラストのチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」が圧巻
不滅の恋 ベートーヴェン  ベートーベンのピアノ・ソナタ「月光」や交響曲第九番など有名曲がたくさん
ライフ・イズ・ビューティフル ホフマン物語「バルカローレ(舟歌)」が聞きたくなる
ショーシャンクの空に 刑務所で流れる「フィガロの結婚」のアリア
レッド・バイオリン ヴァイオリンが辿る数奇な運命
ミュージック・オブ・ハート  実話の感動ストーリー。
バッハの2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調
ファンタジア 60年前にディズニーがクラシック音楽を映像化
「トッカタータとフーガ」や「春の祭典」など見ごたえあり。2000年版もあり。
ブラス! 炭鉱の町のブラスバンドが演奏する「アランフェス協奏曲」や「威風堂々」
愛と哀しみのボレロ ラストのボレロは、音楽よりバレエに注目
アマデウス サリエリの視点から描くモーツァルト。冒頭の交響曲25番やレクイエム
ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ デュプレといえばエルガー「チェロ協奏曲」


北京ヴァイオリン

製作: 2002年 中国
監督:チェン・カイコー(陳凱歌
)
● 映画の紹介

ハリウッドにも進出しているチェン・カイコー監督のヒュ−マン・ドラマ。監督本人も後半の音楽教師役で出演しています。

田舎で暮らす父と子。息子のヴァイオリンの才能を信じる父親は、ある日息子をつれて北京にやってきます。そして父親は必死に働いて金を稼ぎ、息子に音楽教師をつけ、コンクールに出場させるために奔走します。

なかなかの感動作品。貧乏ながら生活たくましい父親がいい味だしてます。息子役は実際にヴァイオリンを勉強している学生で、演奏シーンには迫力があります。ヴァイオリンの演奏は吹き替えで、リー・チュアンユン(李伝韻)の演奏です。


● ここが聴き

音楽をテーマにした映画なので、数々の名曲が登場します。なかでも、ラストで、駅とコンクール会場を重ね合わせながら、息子が弾くチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」が圧巻。涙が止まらなくなります。

チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」

このCDはお勧め!
ロシア音楽にはやはりロシアの音楽家。ロシアの大地を感じさせる骨太な演奏は、聞き応えがあります。

    ゲルギエフ指揮、レーピン(vl)、キーロフ管弦楽団 
        (録音:2002年7月) 
       −ユニバーサルクラシック−


ちなみに、チャイコフスキーは、このヴァイオリン協奏曲を当時の有名なヴァイオリニスト、レオポルド・アウアーのため献呈しようとしたけれど、演奏不可能と言われて返されてしまったそうです。

その後、ブロンドスキーがこの曲を演奏するようになりましたが、最初は「安っぽいウォッカの匂いがする」などと言われ、酷評されていたそうです。それにもめげず、ブロンドスキーは演奏を続け、やがて人々もその価値を認めるようになりました。今では非常に人気の高いヴァイオリン協奏曲となっています。

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不滅の恋 ベートーヴェン 

製作: 1994年 米
監督:バーナード・ローズ
主演:ゲイリー・オールドマン
● 映画の紹介

ベートーベンの死後発見されたラブレターの謎を追いながら、ベートーヴェンの生涯を描いた作品。

ベートーヴェンの弟子シンドラーは、ベートーヴェンの遺品から宛名のない3通のラブレターを発見する。誰に当てられたものなのか、シンドラーは調査を始める。

音楽で名を成しながら、やがて耳が聞こえなくなる恐怖に怯えながら作曲する姿、そして第九で大成功を納めながらも孤独な後半生が描かれます。

● ここが聴き

全編、ベートーヴェンの有名な作品がたくさん流れていますが、特に印象的なのはこんなところでしょうか。
  ピアノ協奏曲 皇帝 
  ピアノ・ソナタ 悲愴
  ピアノ・ソナタ 月光
  交響曲第九番

特に、耳が悪くなり始めて、ひとり孤独にピアノに耳を押し当てながら、月光を弾く姿が心に残ります。

ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ 月光」

ベートーヴェンは沢山のピアノ・ソナタを作曲していますが、「月光」「悲愴」「熱情」が三大ピアノ曲として有名です。この3曲のカップリングで沢山のCDが出ています。

有名な演奏家としては、まず、バックハウスが挙げられます。彼の演奏は、その硬質さがベートーヴェンの正統派の演奏として高い評価を得ています。古い録音なので、廉価版で手軽に入手できます。

対象的な演奏としてはグレン・グールド。独特の世界を表現してます。その他にも、たくさんの有名演奏家のCDがでています。


ベートーヴェン「交響曲第九番」

年末に演奏されることで有名な第九ですが、意外と第4楽章の合唱以外は聞いたことがない人が多いようです。この機会にぜひ全曲通して聴いてみては?どの楽章もすばらしいです。

カラヤンなど有名指揮者の録音も、廉価版がいろいろでており、手軽な値段で楽しむことができます。


ベートーヴェンに興味をもったら

ベートーヴェンのラブレターの話は非常に有名(本当に存在しています)で、いろんな研究がされています。実は、この映画のラストは、定説になっている恋人とは異なる人の設定になっています。

もし、ベートーヴェンや彼のラブレターに興味をもったら、本を読んでみてはいかがでしょうか。彼のラブレターに関する本はいろいろと出版されています。いろいろな手がかりから推理する面白さと、ベートーヴェンの裏話などもあって、非常に興味深く読むことができます。

ちなみに、この映画では、ベートーヴェンは非常に暴力的で、傍若無人に描かれていますが、ある本を読んでみたところ、激情家ではあるものの、意外と彼はフェミニストで、映画の印象とはだいぶ違うように思えます。

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ライフ・イズ・ビューティフル

製作: 1997年 イタリア
監督・脚本・主演:ロベルト・ベニーニ
● 映画の紹介

お調子者のユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、美しい女性教師ドーラ(ニコレッタ・ブラスキ)に一目惚れ。最初は相手にされなかったものの、根っからの陽気さで彼女の心を掴み、ついに結婚。しかし、戦争の影が忍び寄り、彼らはナチスの強制収容所に送られてしまう。ここで、彼は息子を守るために、ある作戦を考える。

● ここが聴き所

ホフマン物語の「バルカローレ(ホフマンの舟歌)」が印象的に使われています。

ドーラに会いたくてグイドが出かけたオペラが「ホフマン物語」。ここで、有名な「バルカローレ(ホフマンの舟歌)」のシーンが出てきます。

そして、離れ離れになってしまった強制収容所で、グイドは、彼女へのメッセージとして、この「バルカローレ(ホフマンの舟歌)」を監視の目を盗んでスピーカで流します。

(でも、このシーン、「ショーシャンクの空に」とそっくりかも、、、)

オッフェンバックの「バルカローレ(ホフマンの舟歌)」

ホフマン物語はオッフェンバックの歌劇で、詩人ホフマンが酒場で語る3つの恋の物語からなります。ホフマンの舟歌は、娼婦ジュリエッタとの恋を語る幕(通常3幕)で、ジュリエッタとニクラウスが歌う二重唱。

もちろんオペラでみるが一番ですが、ちょっと手軽に楽しむには、コンピュレーションCDもいいかも。「バルカローレ(ホフマンの舟歌)」を収録したCDはいろいろ出ています。

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ショーシャンクの空に

製作: 1994年 米
監督:フランク・ダラボン
主演:ティム・ロビンス
● 映画の紹介

アンディ(ティム・ロビンス)は、若くして銀行の頭取を務めるエリートだった。しかし、妻とその愛人の殺人容疑をかけられ、無実のまま終身刑となる。最初は周りの受刑者に心を開かなかったアンディだが、つらい生活のなかで、“調達屋”のレッド(モーガン・フリーマン)と友情を築いていく。刑務所での過酷な運命を受け止めながら、彼は最後まで希望を捨てることなく、最期にはあっと驚く結末で締めくくる。

地味ながら、前向きなアンディの姿には感服します。

● ここが聴き所

刑務所で、アンディは監視の目を盗んで「フィガロの結婚」のアリアのレコードをかけます。クラシックなんて聴いたこともないような囚人たちが、この瞬間、このアリアに心を寄せる場面には感動します。

モーツァルト「フィガロの結婚」

映画で流れるのは、オペラ「フィガロの結婚」の第三幕、伯爵夫人と侍女スザンヌの”手紙の二重唱”です。「フィガロの結婚」には、このほかにも美しい有名な曲がたくさんあり、初心者のオペラ入門には最適です。

この"手紙の二重唱”は、コンピュレーションCDなどに収録されているケースはあまりないようです。CDで手軽に楽しみたい時は、モーツァルトのアリア集や、「フィガロの結婚」抜粋版などが手頃かもしれません。


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レッド・バイオリン

製作: 1998年 カナダ・イタリア
監督:フランソワ・ジラール
主演:サミュエル・L・ジャクソン
● 映画の紹介

バイオリンが辿る数奇な運命を描いた作品。

17世紀、バイオリン職人ブソッティは、亡き妻と子への思いをこめ、後にレッド・バイオリンと呼ばれるバイオリンを完成させる。このバイオリンは、修道院の天才少年、イギリスの演奏家、そして文化大革命下の中国と、数奇な運命を旅することになる。そして、今、オークション会場で、様々な思いを秘めた人々の前にレッド・バイオリンが登場する。

● ここが聴き

映画用のオリジナル音楽を使ってますが、全編に流れるバイオリンの音色がとても魅力的。

謎めいたバイオリンの存在と4世紀に渡るバイオリンを巡るドラマ、そして官能的なバイオリンの音色、クラシックファンならずともたっぷり楽しめる映画です。

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ミュージック・オブ・ハート

製作:1999年 米
監督:ウェス・クレイヴン
出演:メリル・ストリープ
● 映画の紹介

ロベルタ(メリル・ストリープ)は、離婚して二人の息子をつれて故郷に戻ってきた。そして、知り合いの紹介で、スラムにある公立学校で子供たちにバイオリンを教え始める。最初はやる気を見せなかった子供たちだが、しだいに自分から練習するようになり、音楽教室は子供たちの人気のクラスになる。

しかし、市の教育予算削減により、教室は閉鎖されことになる。教室を存続させるため、ロベルタは子供たちと有名な演奏家によるチャリティ・コンサートを開く。

● ここが聞き所

スラムという荒れた土地の子供たちと、音楽を通して心を通じていくという、ありがちなストーリーですが、見るとやっぱり感動してしまうものです。しかも、これは実話だそうです。


ロベルタのバイオリンの授業にでてくるのは「きらきら星変奏曲」。これは、バイオリン入門曲として有名です。授業が進むにつれ、子供達のバイオリンの音がどんどん変わってくるのはさすがです。

でも、聴き所は、やはりラストのコンサートシーン。子供たちと有名なヴァイオリニストの共演によるバッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」などが聞けます。

バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調」

映画のなかで、子供たちが参加する最後のコンサートで演奏されるように、有名なわりに演奏難易度はそれほど高くないため、ヴァイオリンを習う人の一つの目標にもなる曲です。

第1バイオリンと第2バイオリンの扱いは全く対等で、2つのバイオリンの掛け合いで演奏される第1楽章で始まります。2つの独奏バイオリンが演奏する曲であることから、「ドッペル」(ドイツ語でdouble,2重の意)の通称でも知られています。

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ファンタジア

製作: 1940年 米
監督:ベン・シャープスティーン
● 映画の紹介

60年も前に作成されたディスニーによるクラシック音楽の入門映画です。有名なクラシック音楽を、それぞれのアニメータが独自の解釈でビジュアル化しています。この時代に、このような映画が作成されるなんてかなり驚き。今みても新鮮だと思います。

本当は子供のための音楽入門映画なんでしょうが、子供よりも、大人のクラシック初心者にちょうど良いかも、、、、

演奏は、レオポルド・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団。ストコフスキーは映像にも出演。



● ここが聴き所


登場する音楽は、以下8曲。どの曲もとても有名ですので、きっとどこかで聞いたことがあるはず。これに絵がつくと、とても楽しく聴くことができます。

 ・「トッカータとフーガニ短調」 バッハ(ストコフスキー編)   オーケストラのシルエットを写して重々しく
 ・「くるみ割り人形」  チャイコフスキー         妖精や森の動物たちが軽やかに踊る
 ・「魔法使いの弟子」 デュカス             魔法のとき方が分からず、ミッキーマウスが大慌て
 ・「春の祭典」   ストラヴィンスキー        10億年前の地球上での生命誕生をリアルに描く
 ・「交響曲第6番 田園」  ベートーベン       かわいいユニコーンやペガサスたちが登場
 ・「ジョコンダ」より”時の踊り” ポンキエルリ      ダチョウやカバ達がおしゃまにバレエする
 ・「禿山の一夜」  ムソグルスキー          おどろおどろしい雰囲気を見事に物語化
 ・「アヴェ・マリア」  シューベルト            そして美しいエンディング

特に、「春の祭典」は映像と音楽の雰囲気が見事に一致してて迫力があります。「禿山の一夜」の物語化も見事。
(初心者には、現代曲は映像があると入りやすい気がします)




ストラヴィンスキー 「春の祭典」


20世紀音楽の傑作といわれている作品。第一部「大地礼賛 」と第二部「生け贄」から構成されます。ストラヴィンスキーは、異教徒たちの行う原始的な宗教儀式、生贄の娘の踊りをイメージして曲を作成したそうです。今ではすっかりクラシックの定番となってますが、発表された当時はかなりスキャンダラスな事件だったようです。

もともと、この作品は新しいバレエ公演のために作曲されました。バレエの初演は1913年のパリ。人気ダンサーであるニンジスキーの振付けたバレエは、クラシックバレエの基本を無視した、まったく新しいものでした。そして、ストラヴィンスキーの音楽は、これまで聴いたこともないような変拍子と不協和音。これまで、美しいバレエ、美しい音楽しか知らなかった観客は、この舞台に驚き、抗議する者、支持する者で、劇場は乱闘騒ぎまでおこるほどの大混乱になったといわれています。

その場に立ち会っていたストラヴィンスキーは、次のように回想しています。

「序奏の最初の数小節が始まっただけで嘲笑が湧いたので、私は憤慨のあまり席を立ってしまった。最初のうちは少なかったが、不愉快な極まる示威は次第に高まり、ついに会場を覆い尽くしてしまった。ところがそれに反対するヤジも多くなって、やがて恐るべき喧嘩に発展した」(ブーレーズ指揮「春の祭典」1969年-CDの解説書より)

いやはや、すごい騒ぎだったようです。

この曲は、多くの舞踏家たちを刺激するらしく、実に沢山の振付家たちがこの曲に振付しています。有名なのは、ここに紹介した初演時のニジンスキー版のほかに、モダンバレエの巨匠ベジャールの振付や、ピナ・バウシュの振付などが有名です。クラシック初心者には、音楽だけだととっつきにくいですが、バレエを見ることで、この曲のもつ原始的な生命の息吹をリアルに感じられるようになります。



チャイコスフキー 「くるみ割り人形」


くるみ割り人形は、組曲としてコンサートでもよく演奏されますが、本来は全2幕のバレエのための音楽です。バレエ全幕でみると2時間近くになりますが、ファンタジアに出てくるのは、後半に出てくる以下のような音楽です。

   金平糖の精の踊り〜中国の踊り〜葦笛の踊り〜アラビアの踊り〜ロシアの踊り〜花のワルツ

この中で、なんといっても一番有名なのは”花のワルツ”です。この美しく甘いメロディ、誰もが必ずどこかで耳にしていると思います。この他にも、くるみ割り人形には、たくさんの耳慣れた音楽が登場します。

クリスマス・イブの夜を舞台としているため、クリスマスシーズンになると、あちこちでこのバレエが上演されます。

お話は、クリスマス・イブの夜、くるみ割り人形を贈られた少女が、夢の中で、王子に変身したくるみ割り人形と、お菓子の国を旅するという内容で、ホフマンの「くるみ割りと鼠の王様」が原作になっています。

バレエの美しい舞台もいっしょに楽しむことで、チャイコフスキーの甘い美しい音楽をより楽しめると思います。(ただ、演奏に満足できるバレエ公演は少なくのが現実、、、)

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ブラス!

製作:1996年 イギリス
監督
:マーク・ハーマン
出演:ピート・ポスルスウェイト、

   ユアン・マクレガー  

● 映画の紹介

閉鎖の危機にある炭鉱の町のブラスバンドが舞台。歴史ある名門ブラスバンドではあったが、メンバーたちはみな炭鉱で働く労働者であり、彼らの生活は実に厳しい状況にあった。炭鉱閉鎖が決まる中、ブラスバンドも解散を目前にしていた。メンバーたちは厳しい現実に苦しみながら、それでも、コンクールでの優勝、ロイヤル・アルバートホールでの演奏を目指し練習を続けた。

不安を抱えながら生きるイギリスの労働者の現実と、それでも、音楽を続ける人々の希望に泣けてきます。

● ここが聴き所

フリューゲル・ホルンを抱えてこの町を訪れたグロリアが、炭鉱のブラスバンドに参加して初めて吹くのが「アランフェス協奏曲」。本来はギターの協奏曲ですが、ブラスバンドで演奏する「アランフェス協奏曲」が実にいい。特に、フリューゲル・ホルンのソロ、哀愁を帯びたこの曲にぴったりでした。

そして、ラストの「威風堂々」。いつもとはちょっと違って、なんとも心に染み入るようです。元気がいい音だとばかり思っていたブラスバンドの低い味わいのある音にちょっと驚きました。

■ ロドリーゴ 「アランフェス協奏曲」

スペインの盲目の作曲家ロドリードの代表作。とくに哀愁をおびた第2楽章が有名です。本来はクラシックのギター協奏曲ですが、映画の中では、ブラスバンドとフリューゲル・ホルンのソロで演奏されました。もちろん、本来のギターによる演奏も素敵です。

この曲は、クラシックの演奏だけでなく、ジャズなどいろいろなアレンジで取り上げられており、マイルス・デイビスがトランペットのソロを吹く演奏なども有名です。

■ エルガー 「威風堂々

5曲からなる行進曲集「威風堂々」、特に荘厳をな中間部のメロディは非常に有名で、誰もが必ずどこかで耳にしているはず。

ロンドンでの初演では、この曲を聴いて感動した観客の拍手がやまず、三回も演奏することなったそうです。

また、当時の英国国王エドワード7世は、この曲をとても気に入り、これに歌詞をつけることを勧めたそうです。そして、今では、この曲は、第2の英国国歌として愛されています。

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愛と哀しみのボレロ

製作: 1981年 フランス
監督:クロード・ルルーシュ

● 映画の紹介

音楽家、ダンサーなどの3世代にわたる人生を描く。場面が次々に切り替り、また、登場人物が多く、娘役を親と同じ俳優が演じたりするので、一度見ただけでは理解できない部分も多い。また、非常に長く、淡々といろいろなエピソードを綴っていくので、ちょっと退屈してしまうかも、、、

でも、並行して描かれたそれぞれの人生が最後に1つに交わり、パリで行われたコンサートで踊られるボレロのシーンは圧巻。映画の内容は忘れてしまっても、このシーンだけ覚えている人も多いと思います。

主人公達は、それぞれ実在の人物がモデルになっています。ナチスに協力したとして、戦後迫害される音楽家は、カラヤンがモデルであり、亡命したダンサーはロシアから亡命した元パリ・オペラ座芸術監督のヌレエフがモデルです。

● ここが聴き所

クラシックだけでなく、様々な音楽が全編を支えています。

ナチス親派とレッテルを貼られた指揮者が、戦後初めてのニューヨーク公演で、ユダヤ人によるボイコットにより、たった2人の観客の前で演奏するのが、ブラームスの交響曲1番。彼は現実を受け止め、2人の観客の前で、自己を見つめるかのように指揮します。

また、ジョルジュ・ドン演じるロシアのダンサーは、パリ公演を終えた帰国の途中、空港で、突如西側の人々の中へ飛び込み亡命を図ります。直前のパリ・オペラ座での公演から空港での亡命シーンまで、効果的にベートーベン交響曲7番が使われています。

しかし、なんといっても、圧巻なのは最期のボレロ。ここでは演奏より何より、ジョルジュ・ドンが踊るバレエが素晴らしい。この映画により、このバレエは一躍有名になりましたが、このバレエは現代バレエの傑作のひとつです。

■ ラヴェル ボレロ

小太鼓がリズミを刻み、2つの主題がいろいろな楽器のソロに引き継がれながら最期まで繰り返されます。非常に単純な構成でありながら、ラストに向かって曲全体がクレッシェンドしていくとともに、聴いている側も異常な高揚感を覚えます。

ボレロとは、もともとは3拍子のスペイン舞踊。ラベルは、バレエ用の曲として依頼されて、このボレロを作曲したそうです。オリジナルのバレエはどんなものだったかあまり知られてはいませんが、今では、ボレロのバレエといえば、この映画のベジャール版が最も有名です。

■ [バレエ] ボレロ 振付:ベジャール

映画のラストに踊られるボレロは、振付家モーリス・ベジャールの代表作で、ジョジュ・ドンがこれを踊って世界的に有名になりました。彼のボレロの公演は、亡くなった今でも伝説的に語られるほど、熱狂的支持を受けていたそうです。

舞台に置かれた赤い円卓の上で、一人のダンサーが何かに取り付かれたのように踊り、さらに、その彼に魅入られるかのどごくに周りのダンサーが一人、二人と踊り始めます。ボレロの音楽と同様に、同じような振付の繰り返しで微妙に変化していくダンスが、音楽とともにしだいに激しさを増し、音楽とダンスが見事に一体化されています。

オーケストラのコンサートですら、この曲を演奏すると会場が盛り上がるくらいですから、ボレロのバレエ公演では、必ず場内が異常な熱気に包まれます。

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